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4.72020
新型コロナウイルスに対応する就労継続支援B型サービス費の算定 2つのポイント

就労継続支援B型サービス費の算定方法
就労継続支援B型事業は就労や生産活動の機会の提供を通じて、生産活動にかかる知識・能力の向上、維持等を図るサービスの提供に伴う報酬の設定がなされております。つまり利用者に支払う工賃で報酬額が変わってくるのです。
就労継続支援B型の運営基準により工賃の支払いは以下の3点を遵守する必要があります。
・生産活動に係る事業収入から事業経費を控除した額から支払う→原則、自立支援給付費から工賃を支払ってはならない
・1月あたりの工賃の平均が3,000円を下回ってはならない
・年度ごとに工賃の目標水準を設定し、目標水準と前年度の利用者に対し支払われた工賃の平均額を利用者に通知及び都道府県に報告する
就労継続支援B型サービス費の区分
平均工賃月額は前年度の支払実績を基に報酬算定致します。原則、上記の方法で就労継続支援B型サービス費が算定されますが、新型コロナウイルスの影響で算定方法の例外が適用されます。その際に押さえておきたいポイントを2つご紹介致します。
ポイント1:前年度の平均工賃月額の算出
平均工賃月額の計算は以下の通りです。
平均工賃月額:報告対象年度の工賃支払総額➗報告対象年度各月の工賃支払対象者の総数
報告対象年度各月の工賃支払対象者の総数を算出するにあたり、インフルエンザ等の流行性疾患により連続1週間以上の長期に渡って利用できなくなった者については、利用できなくなった月から利用可能となった月まで工賃支払対象者から外して算出することができます。新型コロナウイルスも流行性疾患に当てはめてよいことになっております。
事業所だけでなく、取引先の企業においても新型コロナウイルスへの対応が必要となった場合、この対応に伴い、生産活動収入の減少が見込まれ、工賃支払額の減少が明らかであると都道府県・指定都市・中核市が認めた場合も含まれます。つまり新型インフルエンザ等対策特別措置法における緊急事態宣言により指定された都道府県に住む利用者を工賃支払対象者の総数として算出するにあたり、宣言期間中に通所自粛している利用者を工賃支払対象者の総数から外して算出することが可能になります。
ポイント2:工賃の支払い
就労継続支援B型事業の運営基準により工賃は生産活動事業収入から事業経費を控除した額から支払うこととなっております。新型コロナウイルスの影響により取引先の企業やお客様の状況により収入が減少する可能性が高いため、まずは工賃変動積立金の取り崩しを検討しましょう。
関連記事:実地指導のポイント 〜工賃・積立金〜
しかし、以下の3つに当てはまる場合には特例で自立支援給付費から工賃を支払うことが可能になります。
・激甚災害の指定を受けた地域若しくは災害救助法適用地域に就労継続支援B型事業所・取引先企業が所在する場合、又は大規模災害による間接的な影響により生産活動収入が得られなかったことが明らかだと指定権者が認めた場合
・生産活動収入の大幅な減少が見込まれる、又は生産活動を実施しているが数ヶ月にわたり十分な生産活動収入が得られなかった場合
・工賃変動積立金がなく、活用できない場合
生産活動収入が災害前の水準に戻った後は自立支援給付費からの工賃の支払はできませんので、注意して下さい。
今の現状では激甚災害の指定地域が緊急事態宣言の指定地域に読み替えが可能とはなっておりませんが、緊急事態宣言の発動により読み替えが可能という厚生労働省の事務連絡が通知される可能性もありますので、事務連絡が出た際にお知らせ致します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参照:
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