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1.162020
都道府県・市町村の行う監査 〜障害福祉サービス事業が受ける監査〜

目次(もくじ)
都道府県や市町村から障害福祉サービス事業者が指導や監査を受ける目的
以下の2点が目的となります。
・障害福祉サービス事業者の自立支援給付に関する業務の適正かつ円滑な実施
・障害福祉サービス事業者の法令等に基づく適正な事業実施の確保
この2点に基づき、都道府県や市町村が実施する指導監査に関する「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」「指定障害福祉サービス事業者等監査指針」が定められました。
監査指針の目的
障害福祉サービスの質の確保及び自立支援給付の適正化を図ることが目的とされています。
監査指針の定める手段
都道府県知事又は市町村長が障害福祉サービス事業者に対する障害福祉サービスに係る費用の請求に関して行う監査に関する基本的事項を定めることで質の確保、給付の適正化を図っています。
監査の対象
監査は下記の2点を踏まえて、指定基準違反等の確認について必要があると認める場合に行われます。
・要確認情報
・実地指導において確認した情報
要確認情報
以下の情報は必ず確認されます。
・通報・苦情・相談等に基づく情報
・市町村、相談支援事業等へ寄せられる苦情
・自立支援給付の請求データ等の分析から特異傾向を示す事業者
実地指導において確認した情報
実地指導を実施した市町村又は都道府県が障害福祉サービス事業者について確認した指定基準違反等が確認された場合に監査となります。
監査の方法
報告
都道府県知事又は指定権限のある市町村長は、指定基準違反等の確認について必要がある場合は、障害福祉サービス事業者に対し、報告、帳簿書類等の提出又は提示を命じて、以下のいずれかを実施します。
・出頭要求
・監査職員に関係者に対して質問
・事業所に立ち入り、設備、帳簿書類等の検査を実施
合わせて押さえる
指定権限のある市町村長とは、指定都市、中核市の長があたります。
指定権限のない市町村長は、事前に監査を実施する情報を都道府県知事又は指定都市、中核市の長へ提供し、複数の市町村に事業所が点在している場合は、都道府県が総合調整を実施します。
指定基準違反等が認められた時は、文書によって指定権限のない市町村長から都道府県知事又は指定都市、中核市の長に通知されます。
都道府県知事と市町村長が同時に検査を行なっている場合は通知しなくても良いものとされています。
同時に検査を行なっているケースは精神通院医療と自立支援給付の両方の実地指導で違反が認められたケースです。
通知を受けた都道府県知事又は指定都市、中核市は速やかに障害福祉サービス事業者に対して行政上、経済上の措置、聴聞を行うことになります。
監査結果の通知
監査の結果、行政上の措置に至らない改善を要すると認められた場合、後日文書によって障害福祉サービス事業者にその旨が通知されます。その際は文書により報告が求められます。
行政上の措置
行政上の措置を実施できるのは都道府県知事、指定都市・中核市の長です。
指定基準違反等が認められた場合は勧告、命令、指定の取り消しが行われることになります。
勧告
下記に定める指定基準の違反が障害福祉サービス事業者に確認された場合、期限を定めて、文書により基準を遵守すべきことを勧告されることになります。
1 障害福祉サービス事業所の従業者の知識、技能又は人員について都道府県の条例で定める人員基準に適合していない場合
2 都道府県の条例で定める障害福祉サービス事業の設備及び運営基準に従って適正な障害福祉サービス事業の運営をしていない場合
3 障害福祉サービス事業を廃止又は休止の届出を提出後、サービス利用者が継続してサービス利用を希望がある時、他の障害福祉サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を適正に行っていない場合
勧告に従わなかった場合は、その旨を都道府県知事、指定都市・中核市の長が公表できます。
参照:障害者総合支援法 49条1~3項
勧告を受けた場合、障害福祉サービス事業者は期限内に文書による報告が義務となります。
命令
障害福祉サービス事業者が正当な理由なく、勧告に係る措置をとらなかった時は、都道府県知事、指定都市・中核市の長は期限を定めて勧告に係る措置を命令することができます。
命令をした場合は、勧告に従わなかった場合と異なり、その旨が公示されることになります。
命令を受けた場合は、障害福祉サービス事業者は期限内に文書による報告が義務となります。
比較
勧告→指定基準違反が確認された場合、指定基準を遵守するよう障害福祉サービス事業者に指示。
公表は行政次第
命令→障害福祉サービス事業者が勧告を正当な理由なく無視した場合、勧告に従うよう命令。
公表は行政義務
指定の取り消し
指定基準違反の内容が下記にあたる場合において、都道府県知事、指定都市・中核市の長は障害福祉サービス事業者に係る指定を取り消し、又は期間を定めて指定の効力を停止することができます。
1 障害福祉サービス事業者が以下に該当するとき
①申請者が禁錮以上の刑に処せられ、現に執行を受けている者
②申請者が保健・医療・福祉・労働関係法令による罰金の刑に処せられ、現に執行を受けている者
③申請者が法人の場合、役員・管理者が①・②に加え、指定の取り消しを受けて5年以内又は監査中に事業廃止届を提出して5年以内の者
④申請者が法人でない場合、管理者が③にあたる場合
2 障害福祉サービス事業者が、障害者等の人格を尊重するとともに、障害者総合支援法又は障害者総合支援法関係法令を遵守し、障害者等のため忠実にその職務を遂行義務違反と認められるとき
3 障害福祉サービス事業者が、事業所の従業者の知識若しくは技能又は人員について、都道府県の条例で定める人員基準を満たすことができなくなったとき
4 障害福祉サービス事業者が、都道府県の条例で定める障害福祉サービス事業の設備及び運営基準に従って適正な指定障害福祉サービス事業の運営をすることができなくなったとき
5 介護給付費若しくは訓練等給付費又は療養介護医療費の請求に関し不正があったとき
6 障害福祉サービス事業者が、監査による報告、帳簿書類その他の物件の提出、提示を命じられても従わず、又は虚偽の報告をしたとき
7 障害福祉サービス事業者又は事業所の従業者が、監査による出頭を求められても応じず、質問に対して答弁せず、虚偽の答弁をする。監査による検査を拒み、妨げ、忌避したとき。これらを防止するため、障害福祉サービス事業者が相当の注意及び監督を尽くしたときは除かれます。
8 障害福祉サービス事業者が、不正の手段により指定を受けたとき
9 障害福祉サービス事業者が、その他国民の保健・医療・福祉関係法令に基づく命令、処分に違反したとき
10 障害福祉サービス事業者が、障害福祉サービスに関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
11 障害福祉サービス事業者が法人である場合、役員・管理者の中に5年以内に障害福祉サービスに関し不正又は著しく不当な行為をした者がいるとき
12 指定障害福祉サービス事業者が法人でない場合、管理者が5年以内に障害福祉サービスに関し不正又は著しく不当な行為をした者であるとき
聴聞
監査の結果、障害福祉サービス事業者が命令・指定の取り消しに該当する場合は、監査後に都道府県又は指定都市・中核市は事業者に対して、意見陳述の機会を与えることになります。
意見陳述の機会を与えられることにより、陳述書や証拠書類を提出することで聴聞の主宰者の意見が通れば、命令・指定取り消しの内容が軽減されることもあります。
参照:行政手続法 13条~31条
経済上の措置
・都道府県知事、指定都市・中核市の長による勧告、命令、指定の取り消しが行われた場合には障害福祉サービス事業者は自立支援給付の全部又は一部を支払うよう指導されます。
・命令又は指定の取り消しが実施された場合は、上記の額に100分の40を乗じて得た額を加えて支払うよう指導されます。
参照:障害者総合支援法 8条
最後に
障害福祉サービス事業者が監査を受ける場合の記事を投稿致しました。
実地指導の通知が来た、監査の要件に当てはまる可能性が1つでもあり、不安がある場合は事業者だけで解決するのではなく、是非障害者総合支援法・その他の法令に詳しい行政書士に相談してみて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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