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信託 〜民事信託(家族信託・福祉型信託)〜

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信託とは

 

 

財産の持ち主である①所有者が特定の目的に従って、その保有する不動産・現金等の資産を②信頼できる個人又は法人に託し、③誰かのためにその財産の管理・処分を任せる仕組みです。

①を委託者、②を受託者、③を受益者と呼びます。

 

 

信託銀行が行なっている信託は信託業法に基づく免許を取得して行なっているので、受託者は信託報酬を得て営業として行なっています。「商事信託」とも呼ばれています。

 

今、普及し始めているのは商事信託ではなく、「民事信託」です。

民事信託の受託者は個人や信託業法に基づく免許を取得していない法人が請け負うことが可能となり、つまり家族が受託者になることも可能です。

民事信託の種類として、家族や親族が受託者となる「家族信託」、高齢者・障害者・年少者等が受益者となる「福祉型信託」があります。

 

 

信託はどんな人が利用した方がいいの?

 

認知症や寝たきりになった高齢者や障害者が家族にいる場合の利用をお勧め致します。

この場合、福祉型信託の利用となります。

 

 

信託はどうやって利用するの?

 

委託者と受託者で信託契約を締結します。信託契約の中で信託の目的、受託者の権限、受益権の設定、効力発生時期等を定めて、信託の利用が開始されます。

 

簡単にまとめると、以下が契約締結までの流れになります。

 

①受託者を見つける

②委託者と受託者で信託の目的、受託者の権限等を話し合う。

③まとまったら、委託者と受託者で信託契約を締結する。

 

 

 

 

事例

 

例えば、委託者が75歳の夫Aさん受益者が72歳の妻Bさん(軽度の認知症と診断あり)受託者が46歳の息子Cさん(Cさんの家族は妻42歳・息子15歳の計3名)とします。

Aさん、Bさん、Cさん家族は同居されています。Aさんが末期がんと診断を受け、余命1年と宣告されました。Aさんは自分の死後のBさんの生活が不安で息子のCさんに相談しました。

CさんはAさんの死後、Cさん家族でBさんの面倒を見ることを了承しています。

 

 

 

事例の解説:信託は成年後見と何が違うの?

 

<成年後見の利用>

事例のケースを見ると、Bさんは成年後見制度の利用ができるのではないかと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

もちろん成年後見制度の利用も可能ですが、もし成年後見制度を利用する場合、Bさんの面倒を見るとAさんと話した息子のCさんは後見人として選ばれるケースは少ない可能性があります。

関連記事:「法定後見と任意後見〜成年後見制度〜」

 

成年後見は家庭裁判所にまず申立てをする必要があります。後見人が選任されるまでは約2ヶ月かかり、その間本人の財産は凍結されるため、いざBさんが病院に行く必要が出てきた場合にBさんの財産から使用することができなくなります。

さらに成年後見をBさんが利用すると管轄が裁判所になるため、後見人はご本人の財産目録を毎年裁判所に提出するため、もしCさんが後見人として選任された場合、Bさんの介護に加えて毎年の本人の財産目録を作成する義務が発生します。

 

<信託の設定>

Bさんの財産の管理・処分権限についてCさんを受託者とした信託契約を締結していれば、CさんはBさんが病院に行く必要がある時もすぐにBさんの財産から通院費を支出することが可能になります。

さらに裁判所は管轄しないため、Cさんは毎年の財産目録の提出義務もないため、信託契約を締結すると、Cさんの負担の軽減も見込まれます

ただし、受託者のCさんが受益者のBさんのために受託者の義務を果たしているか、信託監督人が選任されるので、裁判所への提出義務はありませんが、信託監督人のチェックが入ります。

 

成年後見制度はBさんにとって必要な制度ではありますが、本人の介護に加えて、領収書の管理等同居されている家族(Cさん家族)の負担が増えることが想定されるので、家族の負担軽減、本人がご自宅で最期を迎えたい気持ちを考慮すると、成年後見制度の利用と家族信託の利用のどちらがいいか委託者であるAさんが元気なうちにお話してみることをお勧めします。

 

 

信託のメリット

 

今回の事例は子どもが受託者となったケースですが、子ども(Cさん)のいない老夫婦の場合はどうでしょうか?

Aさんが自分の死後のBさんの生活に不安があり、財産をBさんに全て相続させる遺言を遺したとしましょう。この場合の遺言はAさんの持っている財産を全てBさんが相続できますが、その後の管理はどうしましょう?

実際に財産がBさんに相続され、Bさんの後見人も選任されました。しかし、その1年後にBさんが亡くなり、本人の財産が遺っていると国庫に入ってしまいます暮らしていた家もそのまま空き家となり、使い途がない場合、老朽化が進みながら遺ってしまいます。これは空き家問題の1つですね。

Aさんが遺言を遺す場合、Bさんに遺産を遺すことはできますが、Bさんの死後の遺産の帰属先、つまり二次相続以降を遺言で決めることはできません

しかし、信託契約を締結すると、契約にBさんの財産管理・処分権限だけでなく、Bさんの死後の遺産の帰属先、処分方法を決めることが可能になります。この場合、Aさんの遺言は公正証書遺言とし、遺言執行者を受託者もしくは信託監督人が引き受けるとこのような信託契約が可能となります。二次相続以降の信託を設定することを「受益者連続信託」と呼びます。

このように信託では遺言では達成し得ない二次相続以降の財産の帰属を決めることが可能になります。

 

今回は認知症の家族を持った方の信託設定についての投稿ですが、次回は障害者を家族に持った方の信託設定について投稿します。

 

当事務所ではご家族に認知症の診断を受けた方や障害を抱えた方がおり、今後の生活に不安がある方、健康面・精神面の不安から将来の生活にも不安を抱えている方のご相談もお待ちしております。

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