不動産を共有する場合において知っていただきたいこと
共有はなぜ揉めやすいの?
共有が揉める原因として、共有物に「変更」を加えるには、共有者全員の同意がなければ、行うことができないことが挙げられます。(民法251条)
この「変更」の例として、他者への売却・農地から宅地に変える農地転用が挙げられます。
Aさんは他者へ売却したいが、Bさんは他者へ売却したくないようなケースが起こり得るために、共有は揉めやすいのです。
不動産を共有する前に何か対策は打てないの?
共有を防ぐ意味では、遺言書を遺すことで不動産の所有権を決めてしまうことが1つの対策です。
ですが、子どもが3人おり、相続財産が不動産1つしかない場合は他の相続人から遺留分減殺請求を行われる可能性があります。
では、子どもが多くて、財産が不動産1つしかない場合は揉めるしかないの?
上の図は父が亡くなった後に共有する可能性の高い例です。
共有相続した場合には同居していた次男が長女・長男と遺産分割協議で揉める可能性が高くなります。
長男・長女の相続分の主張と次男の住居の主張が対立しやすいです。
しかし、父と3姉弟が亡くなる前に家族信託を組み立てていると、共有のリスクが少なくなる可能性が出てきます。
下が家族信託を組み立てた図です。
父の思いを汲み取ると、3姉弟で争いにはなってほしくないが、できれば自分が亡くなった後は今まで同居していた次男に家に住んでほしいという願いがあります。
次男は了承しており、家の管理に関しては任せてほしいと言っています。しかし、父と次男だけで不動産の今後の話を進めることは後で揉め事になる可能性が高いです。
そこで長女と長男に家の管理を次男に任せてもいいかどうか意見を聴くことが大切です。長女と長男にも受益権を割り当てることで揉める要因を潰していきましょう。
家族信託を組み立てたけどまだ心配だな…
家族信託を組み立てたら、専門家に信託監督人に就任してもらいましょう。
せっかく組み立てた家族信託を後々「やっぱやめた」ということがないように信託監督人を就けることで家族の思いを遂げることが可能になりますので、組み立てを依頼した専門家に就任して頂くことがベストです。
共有はできれば、避けたい事案ですが、やむを得ない状況もあり得るかと思います。
共有問題に直面した時は家族信託に精通した専門家に相談して、対策を練ることをお勧め致します。