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遺言の無効(自筆証書遺言編)

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遺言が無効になってしまうと…

 

 

遺された家族のために作成した遺言が無効になってしまうと、他の遺言が見つかった場合を除いては、遺された家族は遺産分割協議を行わなければなりません。

 

この遺産分割協議は法定相続人(例:配偶者、子)が全員集まり、遺産をどのように分け合うか話し合わなければなりません。

子どもが遠方に住んでいる場合既に子どもが亡くなっており、孫がいる場合(代襲相続)であっても遺産分割協議に参加する必要があります。

 

遺産には財産以外にも借金といった負債も含まれているので、もし負債がある場合はその負債の返済についても話し合わなければなりませんので、揉めるケースが高いです。

 

遺言を作成しておけば、遺産の配分を生前に決めることで遺産分割協議を省略することができますが、遺言が無効になってしまうことで不要な遺産分割協議を行うリスクが出てしまいます。

このように遺言が無効になってしまうリスクや遺言が無効となる原因を事前に知っておくことで自分の死後に相続人が争うことを防ぎやすくなるので、無効とならない遺言を意識して作成することが大切です。

 

 

自筆証書遺言が無効になる主な原因

 

 

自筆証書遺言とは「遺言者がその全文、日付および氏名を自書し、これに押印することによって成立する」と民法に規定されています。

つまり、自筆証書遺言は自分で書いて遺す遺言ですので、皆さんが一番頭に浮かぶ遺言ではないかと思います。

では自筆証書遺言の無効になる原因として主に挙げられるものが以下のものです。

 

・日付・押印などの様式の不備

・全文自書でないこと

・遺言能力が認められないこと

・その他の無効原因

 

 

日付・押印などの様式の不備

 

単純な無効原因ではありますが、実は自筆証書遺言ではよく有り得る無効原因です。

 

・年月のみの記載の場合(令和元年5月)

・月日のみの記載の場合(5月13日)

・押印がない

 

こういったケアレスミスは1人で作成していると起こり得ますので、遺言に封をする前に第三者にチェックして頂くことは大事です。

 

押印についてですが、自筆証書遺言の場合ですと、指印でも認印でも有効ですが、実印である方が印鑑登録しているため、客観性を帯びています。

 

 

全文自書でないこと

 

遺言書は全文を自分で書くことは容易なことではありません。

 

例えば、書いている途中にご病気になり、利き手が使用できなくなり、第三者に作成を依頼したケース何度も遺言書を書き直しているうちに途中からパソコンで書き直してしまうケース等これらはどちらも自筆証書遺言として無効になります。

 

全て自筆で書いたものであっても相手から筆跡鑑定を求められることも有り得るので、もし自分で書いた日記等があるのであれば、配偶者に預けておくか、信頼できる親族、又は第三者に預けておくことも予防になります。

 

<相続法改正>

2019年1月13日より遺言書に添付する財産目録はパソコンで作成することや、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を財産目録に添付して作成することが認められるなど自筆証書遺言の方式が緩和されました。

 

以前は、自筆証書遺言を作成していた場合は添付書類である財産目録に関しても「自筆」でなければならなかったため、自筆証書遺言の作成の負担の減少が見込まれました。

 

 

遺言能力が認められないこと

 

この遺言能力は満15歳以上の者に原則認められるが、「意思能力、すなわち遺言内容及びその法律効果を理解判断するのに必要な能力を備えること」(岩木宰「遺言能力―裁判例の傾向―」参照)が必要とされています。

 

つまり、15歳以上であっても、認知症、知的障害により成年被後見人と認められている方が遺言を遺すことは難しいとされています。

 

自筆証書遺言を作成した直後に認知症の診断を医師から受けた場合は要注意です。

作成日と認知症として診断された日付が近い場合は診断日以前から認知症であったと疑われるケースもあります。

 

遺言者を作成する前にかかりつけの主治医のいる方は「遺言を遺したいのですが、」と意思能力に関する診断書を作成しておくと、作成後に認知症と診断を受けた場合であっても「遺言能力がない」という判断には至らないケースもありますので、ご自身の健康面に不安を抱えた方は主治医の医師からアドバイスを受けた上で遺言を作成すると良いでしょう。

 

 

その他の無効原因

 

公序良俗に違反した場合、錯誤により遺言を作成した場合、詐欺強迫により遺言を作成した場合があります。

 

 

相続法改正

 

 

以下の2点が自筆証書遺言における主な改正点です。

 

・自筆証書遺言における方式の緩和(パソコンによる財産目録の作成が可能等)

・法務局における自筆証書遺言の保管

 

 

法務局における自筆証書遺言の保管

 

法務局に保管を申請すると、様式の不備のチェックを行ってから保管しますので、家庭裁判所による検認手続きが除外されます。

 

こちらは2020年7月10日施行ですので、2020年7月10日までは法務局では自筆証書遺言の保管の申請はできませんので、従来通りご自身で保管するか、信頼している配偶者、親族等に保管をお願いしましょう。

 

当事務所では遺言書の内容のチェックをはじめ、遺言書の作成指導、戸籍・登記事項証明書等の遺言に必要な書類の取り寄せも承っております。

 

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