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障害福祉サービス事業における不法行為とは 〜監督責任・使用者責任・正当防衛を正しく理解していますか?〜

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不法行為についてどのくらい理解してますか?

 

障害福祉サービス事業者にとって不法行為と聞くと、真っ先に思い浮かぶのが「虐待」ではないでしょうか?
利用者に傷一つ負わせてしまったら、すぐに「虐待」を疑われやすく、従業員である職員は支援に迷いが生じているケースも多いことでしょう。

今回はどのようなケースが不法行為にあたるのか「虐待」を例に挙げてご紹介致します。

 

①加害者の行為が違法であること

職員が「利用者を傷つけよう」と思って怪我させてしまうと、職員の行為が違法となります。
状況によっては職員が利用者を叱るケースもあるでしょう。「職員がイライラしていて利用者を叱るケース」と「利用者が他利用者を叩いてしまい、職員が利用者を叱るケース」とありますが、後者のケースであれば、違法とみなされることはないでしょう。

 

②被害者が加害行為により被害を受けていること

利用者が職員の虐待行為により、怪我をして傷ができてしまう場合には被害を受けていることになります。
ちなみに傷ができていなければ、虐待ではないと安心はしないで下さい。トラウマや恐怖といった「見えない被害」も存在します。職員を怖がっているケースにも状況次第では虐待を疑われる可能性があります。

 

③加害行為と被害に因果関係があること

加害行為と被害の因果関係には以下の例があります。

・虐待行為により利用者が怪我をした
・虐待行為により利用者が職員を怖がるようになった
・虐待行為により利用者が特定の職員を避けるようになった

以上①〜③が虐待の考え方です。

 

不法行為における障害福祉サービス事業者が負う責任

 

不法行為における障害福祉サービス事業者が負う責任は損害賠償責任となります。

では実際に不法行為に対して障害福祉サービス事業者が損害賠償責任を負うのか職員が負う責任と法人が負う責任の2種類をご紹介致します。

 

監督責任(職員が負う責任)

職員が負う責任に「代理監督者の責任」があります。

障害福祉サービスの利用者の中には知的・精神障害を抱えていることで自分の行動に責任を取ることが難しい方もいらっしゃいます。そのような利用者が他人を傷つけてしまったり、物を壊してしまった際に代理監督者となる職員が損害賠償責任を負うことがあります。

職員が監督義務を怠っていない場合や怠っていなくても被害が起こってしまう状況の場合には責任を負いません。例えば、職員が見守っている中で突然癇癪を起こした利用者が他者を怪我させてしまったり、物を壊してしまった場合です。

 

使用者責任(障害福祉サービス事業者である法人が負う責任)

上でご紹介した「代理監督者の責任」は職員が負いますが、障害福祉サービス事業者は使用者責任を負うことがあります。

雇っている職員が仕事中に上記の責任を負った際に雇い主である障害福祉サービス事業者も責任を負うことになります。被害者となる相手は職員にも障害福祉サービス事業者にも損害賠償請求ができます

しかし、どちらかが損害賠償義務を負ったら、そこで終了となります。つまり、両者に損害賠償請求はできますが、障害福祉サービス事業者が責任を負ったら、職員への損害賠償請求はできません。逆も然りです。これを「不真正連帯債務(ふしんせいれんたいさいむ)」と呼びます。

 

正当防衛も知っておきましょう

正当防衛という言葉は聞いたことがある方は多いでしょうが、どういう行為が正当防衛にあたるかは知っている人は少ないと思われます。

正当防衛は他者の不法行為から自分や利用者を守るためにやむを得ず加害行為をしてしまうことです。例を挙げると、事業所に不審者が侵入し、利用者にナイフを振り回した時に不審者に対して職員が金属バットで撃退するケース等が挙げられます。

他にもある利用者Aが利用者Bを殴ろうとした際に職員Cが止めに入り、止めに入った際にCがAに傷を作ってしまった場合にも正当防衛が認められるでしょう。

自分や他者を守るためにやむを得ずに相手を傷つけてしまったところが正当防衛のポイントとなります。

 

怪我人が出た、設備が壊れた時のために損害賠償保険に必ず加入しましょう

 

障害福祉サービス事業者の運営基準の1つに事故発生時の対応があります。
利用者の怪我の有無、物損が起こり得る事業でもあるため、事故の記録だけでなく、損害賠償保険の加入は必ずしておきましょう。加入しておくことで利用者だけでなく、職員を守ることにも繋がります。

実地指導でも障害福祉サービス事業者の損害賠償保険の加入を確認されますので、忘れずに加入しましょう。

 

不法行為に関する民法改正の影響

 

2020年4月1日から改正民法が施行されました。実際に不法行為に関してどのような影響を受けているのかご紹介致します。

 

人体への危害が加えられた場合の損害賠償請求の消滅時効が3年から5年に

改正前の民法では不法行為による損害賠償請求権は損害及び加害者を知った時から3年間相手に請求しなければなりませんでしたが、民法が改正されたことで不法行為により人体への危害が加えられた場合には3年から5年に延長されることになりました。ですが、不法行為による物損の場合には改正前と変わらずに3年間のままとなります。

不審者が事業所に侵入し、利用者に危害を加えた場合であれば、4月前までは3年以内に不審者へ損害賠償請求する必要がありましたが、4月以降からは5年以内に延長されることになります。
しかし、不審者が事業所に侵入するために鍵を壊したり、ガラスを割った場合には改正前と変わらずに3年以内に不審者へ損害賠償請求する必要があります。

 

今回は障害福祉サービス事業者に関わる不法行為の仕組みや民法改正の影響をご紹介致しました。虐待・不審者からの危害・利用者が傷つけてしまったケース等不法行為は障害福祉サービス事業を運営していると関わってくることが少なくありません。
知っておくことで障害福祉サービス事業の運営に役立てて頂ければ幸いです。

最後までお読みいただき、有難うございました。

 

参照:民法改正がわかった 田中嗣久・大島一悟著

 

障害福祉サービス事業者に知っておいていただきたいことの一覧となっております。

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