個人情報の第三者提供に関する義務 〜障害福祉サービス事業者が遵守する個人情報保護に関する義務〜
障害福祉サービス事業者が負う個人情報保護法における義務は以下の6つです。
・利用目的に関する義務
・取得に関する義務
・管理に関する義務
・第三者提供に関する義務
・データの開示等に関する義務
・苦情処理に関する義務
今回は第三者提供に関する義務について説明致します。
障害福祉サービス事業者が負う個人情報の第三者提供に関する義務
障害福祉サービス事業者が個人情報を第三者に提供する際は以下の義務を負います。
・本人の同意を得る義務
・記録を作成する義務
本人の同意を得る義務
障害福祉サービス事業者は、個人情報を第三者に提供する場合、あらかじめ本人の同意を得ないで提供することはできません。
第三者に個人情報を提供する例
・民間保険会社からの照会
例)強度行動障害により物の取り扱いが力任せになってしまう利用者がいて、相手を怪我させてしまった場合などに損害保険金の支払いの審査で怪我の症状に関する照会を受ける
・職場からの照会
例)施設外就労先の社員から障害福祉サービスの利用者の障害に関する問い合わせがあった場合
利用者の同意を得なくても良い場合(例外)
①法令に基づくケース
例)障害者総合支援法に基づく不正受給者に係る市町村への通知、障害者虐待防止法に基づく障害者虐待に係る通報、病状の急変による医療機関への連絡等
②人の生命、身体又は財産の保護のために必要があり、本人の同意を得ることが困難なケース
例)利用者が急病となった場合、医師に対し、障害福祉サービス事業者が状況を説明する場合
③公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であり、利用者の同意を得ることが困難なケース
例)障害者虐待事例についての関係機関との情報交換
④国、地方公共団体又はその委託者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であり、利用者の同意を得ることが事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるケース
例)災害発生時に警察が負傷者の住所等を照会する場合
合わせて押さえる
・障害福祉サービス事業者は障害者総合支援法に基づく指定基準において、サービス担当者会議等で利用者・家族の個人情報を用いる場合、サービス利用開始時にあらかじめ文書により同意を得ておくことが重要。
・同一法人内における情報提供であれば、利用者の同意は不要。
記録を作成する義務
障害福祉サービス事業者は個人情報を第三者に提供した時は、記録の作成及びその記録を保存する義務を負います。
記録は文書でもパソコンによる作成でも構いませんが、第三者に提供後速やかに記録を作成しなければなりません。
決まった時期に特定の事業者との間で継続して個人情報を提供している場合は一括して記録を作成することも可能です。
アドバイス
①記録事項
以下の項目の記録をしなければなりません。
・利用者の同意を得ている旨
・第三者の氏名
・個人情報によって識別される利用者の氏名その他利用者を特定できる事項
・個人情報の項目
②記録事項を省略
複数回にわたって同じ利用者の個人情報を提供する場合において、同じ内容の事項は省略することができる。
③保存期間
3年間保存しなければなりません。
最後に
障害福祉サービス事業者が個人情報を第三者に提供する際に負う義務についておさらいすると、以下を遵守する必要があります。
・あらかじめ利用者の同意を得ないで第三者に個人情報を提供することはできない。(例外を除く)
・個人情報を第三者に提供したときは、記録の作成を行い、その記録を3年間保存する。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参照:「個人情報保護ハンドブック」平成29年6月(個人情報保護委員会発表)
参照:「福祉分野における個人情報保護に関するガイドライン」平成28年2月一部改正(厚生労働省発表)
参照:「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」平成29年4月14日(個人情報保護委員会・厚生労働省発表)
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