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障害福祉サービス事業者が守る安全配慮義務 〜民法改正による安全配慮義務への影響〜

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安全配慮義務

 

安全配慮義務とは法律に基づいた契約の当事者間で契約相手に対して負う法律に基づいた契約と一緒に負う義務のことです。

例えば、会社が労働者と雇用契約を結んだら、雇用契約に基づいた労働が労働者に提供されますが、同時に労働者の生命・健康等を危険から守るよう配慮する義務を会社は負うことになります。

 

障害福祉サービス事業者にとっての安全配慮義務とは

障害福祉サービス事業者の場合、利用者の安全の配慮も契約の目的にもなります。つまり雇用する労働者だけでなく、利用される方の安全配慮義務を負うことになります。

グループホーム等の宿直・夜勤業務に生活支援員があたる場合、グループホームの防犯体制がしっかり確立していること、施錠が徹底されていることに加え、夜勤スタッフの増員や安全教育の実践等が障害福祉サービス事業者が行う安全配慮義務となり、これらが徹底されていない状況で不審者の侵入・夜勤スタッフに危害が加わった場合には安全配慮義務を怠ったとみなされてしまいます

 

安全配慮義務の対象とならないケース

労働者が個人として負うべき義務までは安全配慮義務の対象とはなりません
個人として負うべき義務の例は運転者として負う道路交通法に定められた注意義務等が挙げられます。

その他にも違法行為による犯罪から労働者や利用者が危害を加えられた場合にも安全配慮義務の対象から外れます。この場合は危害を受けた労働者や利用者は不法行為による被害者となるため、加害者に対して損害賠償や慰謝料を請求することになります。
ただし、障害福祉サービスの利用時間中に事件に巻き込まれた場合であり、同行した生活支援員だけが被害を受けずに利用者が被害を受けた場合などには安全配慮義務を怠ったとみなされる可能性があります

 

安全配慮義務を怠った際に障害福祉サービス事業者は債務不履行責任を負う

 

安全配慮義務を怠った際には債務不履行責任を負います。債務不履行責任は損害賠償による償いとなりますので、金銭による賠償となることがほとんどです。あらかじめ賠償額を契約で定めておくこともできます。

障害福祉サービス事業者が安全配慮義務を怠った場合の損害賠償ですが、従業員や利用者にも過失が認められる場合には損害賠償責任と賠償額が裁判所によって必ず軽減されます。ケースによっては障害福祉サービス事業者には債務不履行責任がないという結果になることも有り得ます。

 

安全配慮義務を怠った際には障害福祉サービス事業者は不法行為責任を負わない

勘違いされやすいのですが、安全配慮義務を怠った際には障害福祉サービス事業者は不法行為責任を負うことはありません

不法行為の場合には実際に障害福祉サービス事業者が加害者となって利用者に損害を与えた場合であれば、不法行為責任を負うことになりますが、安全配慮義務は加害行為等の危険から利用者を守る義務となりますので、安全配慮義務を怠ったからといって障害福祉サービス事業者が利用者に加害を加えるわけではありません。

どんな行為が不法行為にあたるかは別の機会にご紹介致します。

 

安全配慮義務に関する民法改正の影響

 

2020年4月1日から改正民法が施行されました。実際に安全配慮義務に関してどのような影響を受けているかをご紹介致します。

 

損害賠償請求の消滅時効の始まりが従業員や利用者が安全配慮義務違反を知った時から5年に変更

改正前の民法では消滅時効の始まりは従業員や利用者が安全配慮義務違反を知った時から10年となっていました。しかし、長期間の経過による義務違反の証拠の喪失等を考慮すると、10年という期間は長いため、5年に短縮されることになりました。
安全配慮義務違反を知らずに障害福祉サービス事業者が安全配慮義務を違反した時から10年で時効が消滅するポイントに変更はありません。

もう1つ知っていただきたい消滅時効の改正ポイントとして安全配慮義務違反による人体へ危害が加わった場合には安全配慮義務違反を知らずに障害福祉サービス事業者が安全配慮義務を違反した時から20年となります。債務不履行責任による損害賠償請求の場合は10年で時効は消滅するのですが、人体へ危害が加わった場合には不法行為責任の損害賠償請求の消滅時効と同じく20年となりました。

 

障害福祉サービス事業者の損害賠償責任の事実の有無を契約及び法令・業界の動向等により証明

改正前の民法では損害賠償責任を負う事実の有無が証明されても契約が実行できなかった場合のみ影響が出ていましたが、実行が遅れた場合や契約が不完全な場合には損害賠償責任の事実の有無による影響はなく、責任の事実の有無がなくても損害賠償責任を負うこととなっていました。
そこで債務不履行全般における責任には事実の有無により責任の有無が決定する条文が加えられました。

損害賠償責任の事実の立証については契約だけでなく、法令や業界の動向により認められることが決まっています。つまり、従業員と結ぶ労働契約だけでなく、利用者と結ぶ利用契約にも安全配慮義務の内容を入れる必要があり、法令以外にも業界のニュースにも着目して安全配慮義務を徹底する必要性が出てきたことになります。
送迎中に利用者の存在に気付かなかった従業員が送迎車内に利用者を置き去りにしてしまったことで新聞に取り上げられることがありました。このようにニュース等で取り上げられた内容を糧に安全配慮義務を徹底することも今後の信用に関わってくるでしょう。

 

今回は「安全配慮義務」に関する仕組みと民法改正の影響についてご紹介致しました。安全配慮義務違反は不法行為ではありませんが、損害賠償責任を負うことはあります。さらに損害賠償責任に関しては民法の改正の影響も受けていますので、知っておくことで今後の障害福祉サービス事業の運営に役立てて頂ければ幸いです。

最後までお読みいただき、有難うございました。

 

参照:

・民法改正がわかった 田中嗣久・大島一悟著
改正民法における安全配慮義務と実務への影響

 

障害福祉サービス事業者に知っておいていただきたいことの一覧となっております。

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