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障害者雇用を推進する会社が1つの障害者グループホームを立ち上げる前に知っておきたい経営と収入の仕組み

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障害者雇用とグループホームの密接な関係

 

障害者雇用率の達成

障害者雇用を推進する会社とは簡単に説明すると、障害者雇用率を満たしている会社です。会社で雇っている従業員のうち、障害者の割合が2.2%(2020年6月現在)以上の場合、障害者雇用率を満たしていることになります。つまり、100人雇っている会社であれば、従業員100人のうち、3人は障害者であれば障害者雇用率を満たしたこととなります

 

特例子会社

事業規模の大きな会社となってくると、子会社を設立してグループ化するケースもあるでしょう。こういったケースでは、1つの子会社が障害者雇用に特別な配慮を施しており、障害者雇用促進法に定める要件を満たす場合に親会社に雇用されていると満たされ、親会社が障害者雇用率を満たしたことに繋がる特例が認められます。その特例が認められた子会社を「特例子会社」と呼びます。

特例子会社は親会社と子会社が以下の要件をそれぞれ満たすことになります。

親会社 子会社の株の過半数を親会社が所有している
子会社 ・子会社の役員が親会社から派遣されている

障害者の雇用人数が5人以上であり、全従業員の20%以上が雇用されている

・障害者の働きやすい環境が整備されている

・障害者の雇用促進及び安定が確実に達成される

参照:「特例子会社」制度の概要

 

一般就労している障害者とその家族の悩み

政府は障害者雇用の推進を掲げていますが、実際に働いている本人たちは以下のような悩みを抱えています。

「就労できてはいるが、いつまで働けるのだろうか?」

「言葉による意思疎通ができずにどうしたら相手に伝わるだろうか?」

本人たちのこのような悩みの捌け口となるのは家族であることが大半です。

しかし、就労している障害者本人が年齢を重ねていくと、必然的に家族も高齢化していくことに繋がります。家族も自身の体調の変化等に不安を感じ始めるので、本人と家族の高齢化はお互いが不安を抱える状態ともなり得ます。こういった現状から親亡き後を見据えたグループホームの設立を望む家族が少しずつ増えてきており、実際にグループホームの設立を謳うフランチャイズ事業も乗り出してきました。

 

家族のグループホームに対する思い

グループホームの需要は確実に増えてきていますが、本人や家族のニーズに合っているかと言えば、そうとは言い切れません。

本人のニーズ「家族と一緒に生活していける環境を続けたい」「なるべく自宅の近くで働きたい」

家族のニーズ「本人たちを理解した支援者に支えてもらいたい」「自宅に近い環境のグループホームを設立してほしい」

障害者雇用を推進する会社にとってはこういったニーズを把握しきれていない現状と障害福祉サービスの仕組みが理解できていない経営者も多く、グループホーム事業に参入する前に、実際にグループホームの運営がどのようにされているかを理解することが大切になります。

 

障害者グループホームの経営

 

では実際に障害者グループホームを経営するために気を付けるポイントは指定基準の遵守です。指定基準とは人員配置基準・設置基準・運営基準の3つです。これらを遵守した上で利益を出すことが求められます。

 

法人格を取得しているか…

グループホームを運営するためには法人格を取得していることが絶対です。障害者雇用を推進している会社であれば、大半は株式会社といった法人格を取得しているでしょう。しかし、個人事業として障害者雇用を推進している場合、法人格の取得をしなければ、グループホームの運営ができませんので、ご注意下さい。

関連記事;障害福祉サービス事業者がクリアしなければいけない要件

 

人員配置基準・設置基準・運営基準の遵守

それぞれの基準は以下の記事で解説していますが、1つ1つ改めて確認してみましょう。今回は介護サービス包括型のグループホームについてご紹介致します。

関連記事:共同生活援助事業 指定基準

 

設置基準

まず確認したいポイントは物件が設置基準に合っているかどうかです。主な確認ポイントは以下の通りです。

・各住居に10名以下の居室が確保されているか?

・1つのグループホームの場合、住居の定員は4名以上となっているか?

各居室は収納スペースを除いて7.43㎡以上確保されているか?

これらはグループホーム事業を立ち上げる際に最低限確認しておく必要のあるポイントです。その他にも新しくグループホームを建てたり、別の用途で建てられた住居をグループホームとして活用したい場合などに確認したいポイントは以下を参照してみて下さい。建築基準法や都市計画法、消防法も遵守する必要がありますので、厳しい基準を満たさなければなりません。

関連記事:新しくグループホームとして利用予定の物件の4つの確認ポイント

これらが満たせていることを確認した上で利用定員を決めることをお勧め致します。利用定員ありきの場合、新たにグループホームを建てる以外は要件に合致した物件を探すのは困難です。

 

人員配置基準

人員配置基準は立ち上げの際だけでなく、事業継続していく上で事業者を苦しめる基準となります。障害福祉業界は従業員の変動の多い業界ですので、退職者が多いと、その分採用しなければなりません。福祉業界の離職率に関してはこちらの記事を参照して下さい。

関連記事:障害福祉サービス事業の今後の傾向 〜利用者・従業員の今後〜

管理者は1名となりますが、サービス管理責任者は事業所全体の利用定員が30人を超える場合は2名以上必要です。小規模で運営していく場合であれば、管理者とサービス管理責任者は兼任されているケースが多いです。

 

世話人の配置基準は事業所の利用者数を6で割った数以上の人数を配置している必要があります。利用者数が10名の場合、世話人を2名以上は最低でも雇う必要があることになります。

世話人の配置基準:利用者数10名 ➗ 6 = 1.66…..(2名以上)

 

生活支援員の配置基準は利用者の障害支援区分によって変わってきます。障害支援区分2以下の利用者のみが利用されている場合であれば、生活支援員は配置しなくてもよいことになっております。利用者数が10名の内訳が障害支援区分6→3名、障害支援区分5→2名、障害支援区分4→3名、障害支援区分3→2名とします。配置基準は以下の計算で求めることになります。

生活支援員の配置基準:(区分6の人数を2.5で割った数)+(区分5の人数を4で割った数)+(区分4の人数を6で割った数)+(区分3の人数を9で割った数)

利用者数10名の内訳(区分6:3名、区分5:2名、区分4:3名、区分3:2名)

区分6(3名➗2.5)=1.2

区分5(2名➗4)=0.5

区分4(3名➗6)=0.5

区分3(2名➗9)=0.222……

1.2 +0.5+0.5+0.222…= 2.43(3名以上)

 

生活支援員の配置基準の場合は常勤換算方法による計算で人数を求める必要があります。常勤換算方法による計算方法は下記の記事を参照して下さい。

関連記事:常勤換算方法 〜必要な従業者の人数の割り出し方〜

利用者数に関しては前年度の平均値で配置基準を求めることになります。新しく立ち上げた場合には推定による人数を求めることになりますが、以下の記事を参考にしてみて下さい。

関連記事:報酬算定の注意点 〜利用者数〜

 

運営基準

こちらの運営基準は人員配置基準同様、立ち上げの際だけでなく、事業継続していく上で遵守しなければならない基準となります。運営基準は遵守する数が40近くあり、1つ1つ確認していくのは骨の折れる仕事です。私からお勧めしたいのは立ち上げの段階で運営基準を遵守していける仕組みを作っておくことです。特に仕組み化しておきたい運営基準は以下の通りです。

・サービス管理責任者の業務

・記録

・入退居手続き

・利用者負担額等に関する事項

・緊急時・災害時・事故対応

・秘密保持

・苦情解決等

 

仕組み化については下記の記事を参考にしてみて下さい。実地指導のポイントについても押さえておくと作りやすいです。

関連記事:

 

障害者グループホームの収入

 

グループホームを経営するにあたって事業者が一番気になることがこちらの収入となってきます。収入が入ってこなければ、経営することができませんので、どのような仕組みで収入が入ってくるのかご紹介致します。

 

自立支援給付(報酬)

大きな収入の1つとしてこの自立支援給付による報酬が挙げられます。自立支援給付による報酬は実際に利用された場合に取得することが可能となります。つまり、グループホームを満床状態で稼働していた事業者が1名でも利用者の欠員が出てしまうと、取得できる報酬額が1名分減額されてしまうこととなります。安定した収入を得続けるためには常に利用定員を満床状態で稼働していくことが大切になります。

上記の基準を満たした上でさらに厳しい要件を満たした事業者であれば、報酬が上乗せされる仕組みとなります。その要件は世話人の配置人数です。最低基準は利用者6名につき、世話人1名の配置ですが、利用者4名につき、世話人1名の配置基準を満たせば、利用者1名につき80単位近く上乗せされた報酬を事業者は取得することが可能です。

その他にも報酬に加算が加わることで金額が上乗せされる仕組み最低基準を満たせない場合に当てはまる減算という仕組みもあります。以下のページに加算や減算の対象について載っておりますので、参照して下さい。

 

自己負担費用

こちらの自己負担費用はグループホームの利用者が負担する費用となります。主にどんな費用を負担するかと言いますと、以下が挙げられます。

 

・家賃

・光熱水費

・食材料費 等

これらの費用は利用者からグループホームに支払われるかたちになるので、グループホームの収入としてカウントされることになります。

 

障害者グループホームの支出

 

続いてグループホームの支出に関してですが、自己負担費用に関しては収入として支払われた負担額とほぼプラマイ0で計算することが可能となります。そのため、グループホームの支出の大半を占める費用は人件費となります。

 

人件費

障害支援区分3の利用者が5名利用するグループホームを例にして最低基準を満たした状態で計算すると、管理者兼サービス管理責任者:1名(常勤)、生活支援員:1名(常勤)、世話人:1人を最低でも雇う必要があるため、3名分の人件費は毎月引かれることになります。障害支援区分が重くなってくると、その分支援の必要性が増し、夜勤の負担が掛かるため、夜勤者を多く雇いたいところです。人件費をいくらにするかは事業者の判断となりますが、処遇改善加算といった人件費の補填となる加算の取得を目指す場合は社会保険労務士に相談されることをお勧め致します。処遇改善加算に関しては以下のページを参照して下さい。

通信費・文具費等

通信費や文具費も無視できません。電話・インターネットといった料金以外にも個別支援計画の作成に使用するソフトなんかも導入を検討されている場合は通信費がかかってきます。保護者とのやり取りや業者とのやり取りも今は電話よりもメール等のツールを利用されるケースが大半です。なるべく抑えたい費用とはなりますが、抑えることで業務が滞る場合も十分に考えられますので、慎重に検討していきましょう。

 

融資資金の返済(元金・利息)

新たに事業として立ち上げる場合に金融機関による融資を利用されていることでしょう。融資は借りるものとなるため、返済が必要です。据置期間を長くすることで一定期間返済額を抑えることが可能となります。融資を検討する場合には据置期間についても長く設定しておきたいです。

関連記事:障害福祉サービス事業者が金融機関から融資を受けた際に返済期間と据置期間を長くする重要性

 

最後に

 

今回は障害者グループホームの経営についてご紹介致しました。障害者雇用を推進する会社がグループホームを立ち上げる場合には、1人だけ雇用されている場合であれば、まだ立ち上げるのは早い段階です。設置基準でお伝えしましたが、グループホームの最低定員が4名となるため、あと3名は募集する必要があります。しかし、グループホームを立ち上げようと考えている場合であれば、準備は早いうちから始めておくことが得策です。当事務所ではそんな方々のために障害福祉サービス事業に関する役立つ情報を更新しております。情報は早いうちから仕入れておくことが大切です。今回の記事がお読みになっている方のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

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